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ATR (Average True Range) の解説

はじめに

本稿では、ATR (Average True Range) というテクニカル指標をまとめておきたいと思います。

ATRは、ボラティリティの尺度になるほか、利益確定・損切りの値幅を決めるのに有効、という特徴を持っています。

ATRとは

ATRとは、J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア氏によって1970年代に開発されたテクニカル指標で;

  • 当日高値ー当日安値(日足でない場合は当日ではなく当期間。以下同様)
  • 当日高値ー前日終値
  • 前日終値ー当日安値

の3つの値のうち、最も大きいものを当日(当期間)の「True Range(真の値幅)」と呼び、このTrue Rangeの移動平均(指数平滑移動平均:EMA)のことを、ATR(Average True Range:真の値幅の平均)と言います。前日終値を使うのは、いわゆる「マド開け」を含む最大の値幅とするためです。

ATRは「最大の値幅の平均値」ということですね。

なお「マド開け」は、FXでは週の初め以外はあまり起こりませんが、市場時間が限定される株式市場では頻繁に起こりますね。

つまりATRは変動率、ボラティリティの尺度、になります。

ATRの使い方

ATRは、他のテクニカル指標のようなトレンド系・オシレータ系といった区分とは異なります。ATRは、下記のような特殊な使われ方に適しています。

ボラティリティの環境認識に使用する

下記のチャートは、ユーロドルの1分足チャート(2日間分)です。背景を薄い赤色で塗っている部分は、ATRが「0.00015」以上の時間帯です。(例:ATR期間:14)

日によって多少の相違がありますが、ユーロドルの場合は、だいたい日本時間の午後4時(ロンドン市場のオープン)頃から、午前1時(ニューヨーク市場の中盤)までが、ATRが高い(ボラティティが大きい)時間帯であることがわかります。

 

ユーロドルは今年9月初旬に1.20を付けた以降、調整相場でボラティリティが下がっています。最近の相場では、ユーロドルの1分足チャートでは、ATRが0.00015、すなわち「1.5pips」がだいたいの境目として利用できます。(この値は、相場環境・通貨ペア・時間足で変わりますので、独自に過去検証されるとよいと思います。たとえばポンドはボラティリティが高いので、ATRの基準値はもっと上がります。)

利益確定・損切りの値幅を決める

最も単純な利益確定や損切りの方法としては、「10pips」とか「15Pips」といった固定値を使う方法があります。しかし、相場のボラティティに関係なく常に固定値を使うと、たとえばボラティティの高いときに「10Pips」が適切な水準だとすると、ボラティティの低いときの「10Pips」は遠すぎるポイント、になってしまいます。

このような問題を解消するために、各トレードにおいて、利益確定の幅(Pips数)や損切り幅(Pips数)を決める場合に、ATRの大小に合わせて、利益確定のPips数や損切りのPips数を増減させる、という考え方があります。

たとえば;

例:利益確定(Pips数):ATR値 X 3

といったかたちで、ATRの倍数を使うことで利益確定幅や損切り幅を増減させると、トレードの優位性を高める可能性があります。

ただしこの倍数は、トレードの手法や、相場状況、通貨ペア、時間足ごとに調整する必要があります。どのように倍数を調整するか、最も有効な方法は、自ら過去のチャートを検証することですね。

なお、固定Pips数の利確・損切りも手法としては「あり」で、これを否定しているわけではありません。たとえば、他のフィルタリングの手法によって、ボラティティが高い相場だけでトレードするのであれば、固定Pips数の利確・損切りも十分有効であると思います。

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