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中国人民元の解説(1)概要

はじめに

日本国内のFXブローカーでも中国人民元のトレードができるようになってきましたね。(たとえば米ドル人民元:USD/CNHや、人民元日本円:CNH/JPY)。

ただし、FXトレーダーの中には、まだ中国人民元の取引をしたことの無い方が多いと思います。中国人民元には、固有の特徴があります。本稿ではまず、中国人民元の基礎についてまとめてみたいと思います。

2種類の中国元

中国人民元には、「オンショア中国人民元(通貨コードはCNY)」と「オフショア中国人民元(通貨コードはCNH)」の2種類があります。

  • オンショア中国人民元(CNY)は、中国の本土(メインランド)内で流通する人民元
  • オフショア中国人民元(CNH)は、中国本土の外(香港やシンガポール等)で流通する人民元

をいいます。

オンショア中国人民元(CNY)とオフショア中国人民元(CNH)は、実際に異なる通貨が流通しているわけではありません。通貨としては同じですが、為替レートが異なります。

中国人民元建ての貿易決済は認められていませんでしたが、2009年7月、中国当局は、香港などの一部の国の企業と許可を受けた中国企業の間で、人民元建ての貿易決済を解禁しました。その後も段階的に規制緩和が実施されて、香港を中心にシンガポール等など中国本土外で取引できる「オフショア人民元(CNH)」が成立しました。

オンショア中国人民元(CNY)には売買規制があります。現在、オンショア中国人民元(CNY)は、毎日定時に中国人民銀行より基準値が発表されて、日中の変動幅は「基準値から上下2.0%の範囲内」とされています。

一方、オフショア人民元(CNH)には為替レートの変動制限はありません。

規制当局も異なります。オンショア中国人民元(CNY)は中国人民銀行によって規制されています。一方、オフショア中国人民元(CNH)は、香港の金融管理局によって管理されています。

オンショア中国人民元(CNY)の規制の歴史

オンショア人民元(CNY)の規制の歴史をまとめておきます。

  • 1955年から1971年まで「ドルペッグ制」を採用
  • 1973年に「通貨バスケット制」に移行、さらに貿易がさかんになり「管理フロート制」を採用
  • アジア通貨危機を発端に「ドルペッグ制」を採用
  • 2005年に「通貨バスケット制」を採用
  • 2008年に再び「ドルペッグ制」を採用。現在は、日中の変動幅は「基準値から上下2.0%の範囲内」とされています。

オフショア中国人民元(CNH)の特徴

上記のオンショア中国人民元(CNY)に対する中国国内の規制については、参考として知っておけば十分です。

一方で私たちがトレードする対象は、オフショア中国人民元(CNH)です。したがって、オフショア中国人民元(CNH)の特徴やリスクについては、十分に認識しておく必要があります。ここからは、「人民元」と呼称しますが、オフショア中国人民元(CNH)のことを意味します。

先に結論から言いますと、最も理解しておくべきポイントは、人民元(CNH)は、「リスク通貨」であるという点です。

通貨には、「安全通貨」と「リスク通貨」という区分があります。
安全通貨とは、「リスクオフ(マーケットがリスクを回避する地合いであるとき、たとえば景気悪化や金融危機などのネガティブな材料に市場が反応している状態)に買われやすい通貨」を意味します。 具体的に安全通貨に該当するのは円、スイスフランや、米ドルです。一方、リスク通貨とは、「リスクオン(マーケットがリスクを積極的にとる地合いであるときで、ポジティブな材料に市場が反応している状態)に買われやすい通貨、相対的に脆弱な通貨」を意味します。具体的には、主要国通貨の中で最も代表的・典型的なリスク通貨は、オーストラリアドルです。

 

オーストラリアは中国経済との結びつきが深いため、豪ドルはこれまで中国関係のネガティブな材料(たとえば米中貿易摩擦の激化や、中国の景況悪化)が出れば売られ、一方で中国株の上昇をはじめ世界的な株式上昇の局面では連動して買われてきました。

この意味で、人民元(CNH)は、豪ドルに近い性質で、中国リスクを豪ドルよりもさらに直接的に反映する通貨です。特に中国株、中国の景況感、米中対立激化に注意する必要があります。

米ドル人民元(USD/CNH)の長期チャート(週足:2013年~2020年まで)を以下に掲載します。上海総合株価指数(上下逆さま)と比較しています。

ローソク足が米ドル人民元(USD/CNH)の週足、青のラインチャートは上海総合株価指数を上下逆転したものです(下に行けば株高、上に行けば株安です)。

  • 人民元は長期的に安くなって昨年に初めて1ドル7元(上のチャートの赤い水平線)を超えましたが、今年は再び1ドル7元を割り込んで元高がすすみつつあること、また
  • 中国株は過去に大きなバブル崩壊があったこと

を認識しておきましょう。
重要なポイントを3本の薄青の垂直線で表示しています。

  • 一番左の垂直線:2015年6月12日 チャイナショックが始まる(中国株の大暴落)
  • 真ん中の垂直線:2016年11月8日 米国大統領選でトランプ氏が当選
  • 一番右の垂直線:2019年8月5日 初めて1ドル7元を超える元安を容認(米中対立激化)

人民元は、米中のパワーバランスの変化、米中の長期的なデカップリングの進展に伴い、長期的にこれから重要性が増していくのは明らかであると考えます。ただし、特に今年11月の米国大統領選挙までは、米中対立激化のニュースで相場が振らされると思いますので、中国元のロング(USD/CNHのショートやCNH/JPYのロング)は注意が必要と思います。

なお、先進諸国の通貨はコロナショック後は米ドルを含めすべて低金利通貨になりましたが、人民元の金利はまだ相対的に高いです。
ただし中国元についてはスワップ金利が高いとかだけでなく、リスクをしっかり理解しましょう。

デジタル人民元の動向にも注意が必要ですね。

 

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