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為替相場の重要な要素「経常収支」をおさえておこう(その他の国編)

はじめに

本稿ではその続編として、その他の通貨を構成する以下の国について、直近5年の四半期ごとの経常収支を比較分析することにします。なお、最初のノルウェーと次のスウェーデンは、「G10通貨」と呼ばれる先進国通貨の国です。

  • ノルウェー
  • スウェーデン
  • 中国
  • メキシコ
  • トルコ
  • 南アフリカ
  • ブラジル
  • ロシア
  • タイ

主要通貨以外の国では、通貨の脆弱性が大きいことが多いので、脆弱性の根拠となる経常収支、ひいては各国の経済構造や他国との貿易の関係を知っておくことは、主要通貨以上にとても大切だと思います。

各国別経常収支の分析

それでは、各国別にチャートによる解説をすすめます。
以下のチャートはすべて、四半期毎で、2015年~2019年の5年間を表示しています。

ノルウェー

(IMFのBOP(Balance of Payment and International Investment Position)より、当サイト作成。以下の全チャート同様です。)

ノルウェーは、石油で潤沢な国ですね。
1960年代に北海油田が開発されて以降、石油及び天然ガスがノルウェー経済の根幹であり、恒常的な経常黒字国です。いずれ枯渇する石油資源に依存しない産業育成が課題です。
ノルウェーは、豊富な水産資源を持つ自国の漁業などへの脅威のため、EUに加盟していません

なお、世界最大のソブリンファンドSWF(石油輸入の資産運用)が、直近のコロナ不況と原油安のダブルの苦境で資産売却か、とのニュースが最近ありました。

スウェーデン

スウェーデンは、隣国のノルウェー同様に経常黒字国ですが、産油国ではありません。ノルウェーと違って、EU加盟国です。2000年代初頭より貿易黒字が減少していることを主因として、経常収支の黒字は減少傾向にあります。

ノルウェーとスウェーデンはともに北欧の優等生国ですが、経済構造はずいぶんと違います。スウェーデンは、日本の将来の国家戦略として最も模範とすべき優等生国として、よく紹介されますね。
ユニコーン企業がたくさん生まれています。私の最も身近なスウェーデン企業は、Spotifyです。

最近はCOVID-19の集団免疫の戦略が話題になりましたね。

中国

中国といえば、貿易黒字の国です。ただし貿易黒字は、最近の米中貿易摩擦よりも以前から長期的な減少傾向にあります。貿易黒字減少の主な理由は、経済発展・所得水準の上昇による消費増加を背景とした輸入の増加によるものです。またサービス収支の赤字が顕著になってきていますが、この主因は海外旅行者急増によるもので、これも所得水準の上昇が背景にあります。

中国の経常黒字減少の背景を見ていると、日本はその恩恵を受けていることが明らかですね。

メキシコ

メキシコは、貿易赤字・経常赤字の国です。米国への依存度が極めて高い構造をもち、アジアから輸入したものを加工して米国に輸出しています。中でも大きな特徴は、第2次所得収支だけ黒字が恒常化していることで、これは在米の出稼ぎメキシコ人労働者からの送金によるものです。米国としては、この安価な労働力を利用することで恩恵をうけています。

米国とメキシコは、互恵関係にあることがわかりますね。

トルコ

日本のFXで人気のあるトルコリラですが、トルコのファンダメンタルズは厳しいです。
なお上のチャートで、2019年から経常黒字に転換していることがわかります。これの主因は、それまで延々と売られ続けたトルコリラの通貨安の効果と、内需の安定によるものです。
ただし、今年はコロナショックでまた厳しい状況です。なお地政学リスクにもたびたび晒されます。

人口は多いし且つ若年層が多いし、潜在力はある国と言われていますね。直近に経常黒字化しましたが、依然として脆弱な通貨です。

以前ほど金利も高くないので、スワップの点でも以前ほど妙味はないですね。

南アフリカ

トルコリラ同様、日本のFXで人気のある南アフリカランドですが、南アフリカのファンダメンタルズも厳しいです。南アフリカの貿易収支は、資源価格に大きく左右されます。「新興国通貨」、「資源国通貨」、かつ「経常赤字国」である南アフリカランドは、最も脆弱な通貨のグループに属しています。

ブラジル

ブラジルレアルも南アフリカランドと同様に、「新興国通貨」、「資源国通貨」、かつ「経常赤字国」であり、、最も脆弱な通貨のグループに属しています。
ただし、ブラジルの貿易収支は比較的安定した黒字で推移しています。

直近は、コロナウイウイルスの感染者数増大の歯止めがかからないことが危惧されています。

ロシア

上のロシアの経常収支チャートを見て、意外に思った方もおられると思います。ロシアは、石油や天然ガスの輸出をメインとした貿易黒字で、かつ経常黒字です。ロシアの経常収支からみたファンダメンタルズは悪くないです。

新興国通貨といっても、ロシアルーブルは、トルコリラや南アフリカランドやブラジルレアルとひとくくりにしないほうが良いです。

タイ


東南アジアの国を代表して、タイの経常収支を紹介します。
ASEAN諸国のなかでインドネシア、フィリピンなどは経常収支が悪化する一方で、タイは貿易黒字・経常黒字で比較的安定している国といえます。

ただし、直近のコロナショックによる観光産業の悪化、サービス収支の悪化は深刻であるとみられます。

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