はじめに
このシリーズでは、人気の高いトレンド系インジケータ「GMMA(Guppy Multi Moving Average)」をとりあげたいと思います。インジケータの概要、使い方のポイント、サンプル・インジケータ、および他のインジケータとの併用の方法などを、何回かの記事に分けてまとめたいと思います。
GMMAとは
GMMA(Guppy Multi Moving Average)は、オーストラリアの金融コラムニストDaryl Guppy(ダリル・ガッピー)氏によって考案されました。GMMAは、期間の異なる12本の指数平滑移動平均線(EMA)を表示して、その12本のラインの交差や拡散、収縮等の動きから、トレンドを多角的にとらえる個性的なトレンド系のテクニカル指標です。
12本の指数平滑移動平均線(EMA)の期間は、以下の通りです。
長期EMA:30・35・40・45・50・60
短期EMA群と長期EMA群の意味
短期EMA群は、スペキュレーター(投機的なトレーダー)の売買動向とみなし、短期的なトレンドの方向や大きさを意味します。一方、長期のEMA群は、、中長期トレーダーの売買動向として、長期的なトレンドの方向や大きさを意味します。
交差、拡散、収縮
12本のEMAは、交差、拡散、収縮を繰りかえします。交差には、各EMAの交差と、短期EMA群と長期EMA群の交差の2つがあります。また、拡散・収縮の方向と強さについて、多様な情報を視覚的にとらえることができます。
短期EMA群と長期EMA群の距離(間隔)
GMMAでは、短期EMA群と、長期EMA群の間の「距離(間隔)」が重要、というポイントがあります。強いトレンドが発生すると、短期EMA群は長期EMA線から離れていき、トレンドが弱くなると短期EMA群は長期EMA群に近づいていきます。すなわち、短期EMA群と長期EMA群の間の幅の距離(間隔)によって、トレンドの強さをとらえることができます。
ご参考に、短期EMA群と長期EMA群の間の幅の距離(間隔)について:
- 上昇トレンドの中で短期EMA群と長期EMA群の距離が拡大
- 上昇トレンドの中で短期EMA群と長期EMA群の距離が縮小
- 下降トレンドの中で短期EMA群と長期EMA群の距離が拡大
- 下降トレンドの中で短期EMA群と長期EMA群の距離が縮小
の4つに分けてそれぞれのケースで、短期EMA群と長期EMA群の間を異なる色で塗りつぶすTradingView自作インジケータを以下に紹介します。
下降トレンドから交差を経て上昇トレンドに変わって、そのトレンドが継続する場合は、短期EMA群と長期EMA群の間の距離は拡大してきます。しかしその後いったん距離が縮小して、次に再度距離が拡大するタイミングに注目してみてください。
なおこのインジケータのPineスクリプトは、以下の通りです。
//@version=4 study( "GMMA-01" ,overlay=true ) gmmaema1 = ema (close, 3) gmmaema2 = ema (close, 5) gmmaema3 = ema (close, 8) gmmaema4 = ema (close, 10) gmmaema5 = ema (close, 12) gmmaema6 = ema (close, 15) gmmaema7 = ema (close, 30) gmmaema8 = ema (close, 35) gmmaema9 = ema (close, 40) gmmaema10 = ema (close, 45) gmmaema11 = ema (close, 50) gmmaema12 = ema (close, 60) p1 = plot(gmmaema1, color=color.green, transp = 50) p2 = plot(gmmaema2, color=color.green, transp = 50) p3 = plot(gmmaema3, color=color.green, transp = 50) p4 = plot(gmmaema4, color=color.green, transp = 50) p5 = plot(gmmaema5, color=color.green, transp = 50) p6 = plot(gmmaema6, color=color.green, transp = 50) p7 = plot(gmmaema7, color=color.red, transp = 50) p8 = plot(gmmaema8, color=color.red, transp = 50) p9 = plot(gmmaema9, color=color.red, transp = 50) p10 = plot(gmmaema10, color=color.red, transp = 50) p11 = plot(gmmaema11, color=color.red, transp = 50) p12 = plot(gmmaema12, color=color.red, transp = 50) gmmadif = gmmaema6 - gmmaema7 case1 = gmmaema6 >= gmmaema7 and change(gmmadif) >= 0 case2 = gmmaema6 >= gmmaema7 and change(gmmadif) < 0 case3 = gmmaema6 < gmmaema7 and change(gmmadif) <= 0 case4 = gmmaema6 < gmmaema7 and change(gmmadif) > 0 fill( p6 ,p7 ,transp = 30, color = case1 ? #3DA69A : case2 ? #B6DFDB : case3 ? #E6544B : case4 ? #FBCDD2 : na )
GMMA関連の書籍
日本語の書籍で、GMMAについて最も詳しく解説された書籍といえば、陳満咲社さんの以下の書籍だと思います。
『FX最強チャートGMMAの真実』
次回は、GMMAの形状パターンの分類について書きたいと思います。