NZドルのアノマリー
まず、様々な金融商品の季節性(シーズナリティ)について、とても有益な情報を提供している「Equity Clock」というWebサイトで分析されている、ニュージーランドドルの季節性のチャートを以下に紹介したいと思います。このチャートは、過去20年の実績に基づいています。

ニュージーランドドルは、8月末から9月初旬にかけて、いったんボトムを付けた後、年末にかけてじわじわと上昇しています。「ニュージーランドドルは、秋から年末にかけて強くなる」といえそうです。
ニュージーランドドルは、とてもシンプルな季節性がありそうですが、なぜこのような季節性があるのでしょうか?
ニュージーランドの貿易収支
「秋から年末にかけて強くなるニュージーランドドル」というアノマリーについて、考慮すべき材料として、ニュージーランドの貿易収支をみてみましょう。
下はYahooファイナンスのデータです。
ニュージーランドの貿易収支には、明瞭な季節性があり、季節によって貿易赤字と貿易黒字が入れ替わります。
毎年、貿易収支が最も悪化するのが8~9月頃で、そこから反発して黒字に反転、改善して貿易黒字のピークを付けるのが翌年の3~5月頃です。
この季節性は、ニュージーランドの最大の輸出品目である「酪農製品(乳製品)」を主因とするものです。生乳の生産は、南半球の真冬に当たる6~7月にはほぼゼロとなり、8月に入ると生乳量が回復していき、10~12月に生産量がピークとなります。生乳の生産量は、9月~2月の半年で年間生産量の約8割を占めています。

「秋から年末にかけて強くなるニュージーランドドル」というアノマリーについては、ニュージーランド最大の輸出品目である酪農製品の季節性に起因する、ニュージーランドの貿易収支の季節性が関係している可能性がありそうです。
以上ご参考になれば幸いです。