はじめに
このシリーズでは、人気の高い「平均足」を取り上げています。トレンドがわかりやすいという理由で何となく使っている方にも、役に立つ内容にしたいと思っています。


平均足の解説(1)ヒゲがないときは何を意味するでしょう?
トレンドの強い状況では、平均足ではトレンド方向に向けて長いヒゲが出ます。言い換えれば、実際の現在値は平均足で見えるよりはずっと先にすすんでいます。また、平均足の初値は、前の平均足の実体の半分(初値と終値の中間)から必ず始まりますので、トレンドの強い状況では、平均足の初値は実際の初値と大きく乖離してしまい、ヒゲがない場合は実際の高値・安値とも乖離します。足が確定するまでの、ローソク足・平均足の形状の変化も比較してみます。
前回の記事で、平均足の形状の仕組みなどを解説しました。前回の記事を読んでいただくと;
「平均足は、結局、期間の短い移動平均線と同じようなものでは?」
と思う方がいらっしゃると思います。

平均足の「陽線・陰線の違い」を、短期の移動平均線を使って捉えることができれば、わざわざ平均足を表示せずとも、普通のローソク足にこの短期の移動平均線をつけて表示したほうが良いのではないか?
という疑問点ですね。
この点を今回は検証してみたいと思います。
検証の方法
検証の方法として、短期移動平均線を使った以下の2つの方法と、平均足の陽線・陰線の違いを比べてみることにします。
方法1:EMA(期間7:初値ベース)と、EMA(期間7:終値ベース)の、大小関係でとらえる
方法2:HMA(Hull Movig Average:ハル移動平均線、期間9)の勾配の上昇中と下降中でとらえる
検証の結果
以下の平均足は、両方とも全く同じものです。
方法1:EMA(期間7:初値ベース)がEMA(期間7:終値ベース)より大きい場合は背景を緑、同じく小さい場合は背景を赤にしています。平均足の陽線・陰線の反転と比べてみてください。
方法2:HMA(Hull Movig Average:ハル移動平均線、期間9)の勾配が上昇中は背景を緑、同じく下降中は背景を赤にしています。こちらも平均足の陽線・陰線の反転と比べてみてください。

上の両方の方法とも、結構いい感じでとらえていると思います。平均足の反転との一致の度合いがより大きいのは、方法1の方でしょうかね。しかし方法2(HMA:ハル移動平均線)も相当にいい感じです。
なおTradingViewで背景を塗りつぶす自作インジケータの作り方については、以下の記事をご覧いただければと思います。


Pine Script(Pineスクリプト)入門解説(7)bgcolor関数
TradingViewの独自言語「Pine Script」入門ガイドの今回は7回目です。今回は、背景を塗りつぶす機能「bgcolor関数」を紹介します。bgcolor関数を説明した後に、「チャート上に期間の違う2本のEMA移動平均線を表示させて、その2本の移動平均線の間の大小・乖離の増減によって背景を異なる色で塗りつぶすサンプル」を作ります。