はじめに
本稿では、モメンタム(Momentum)というオシレータ系のテクニカル指標をまとめておきたいと思います。
「Momentum」は、「勢い」という意味です。
文字通り、モメンタムは相場の勢いを知ることができます。非常にシンプルですが、とても奥が深いインジケータです。
モメンタム(Momentum)とは
モメンタム(Momentum)の計算式は実にシンプルで、以下の通りです。
つまり、現在のローソク足の終値が、n本前のローソク足の終値に比べて、どれだけ上がったか、または下がったか、ということですね。中央のラインはゼロになります。
なお、「モメンタム = 当期間の終値 ÷ n本前のローソク足の終値 × 100」と率で算定するケースもあります(MT4/MT5など)。この場合は中央のラインは100になります。
モメンタムの使い方
モメンタムを見るときのポイントになるのが、ゼロのラインです。ゼロラインより上にモメンタムが位置しているときは上昇トレンド、ゼロラインより下に位置していれば下降トレンドととらえることができます。
また、ゼロラインを下から上に交差したとき、あるいは上から下に交差したときにエントリー、といった使い方も考えられます。
さらにRSIなど他のオシレータと同様に、ダイバージェンスに注目することもできます。
モメンタムと単純移動平均線との関係
(n本前のローソク足と比較する)モメンタムと、(n期間の)単純移動平均線には、以下の関係があります。
モメンタムがマイナスの値である場合は、単純移動平均が下降中
- たとえば、現在のローソク足(t期)の確定時点の5期間単純移動平均は;
SMA1 = (t-4期の終値 + t-3期の終値 + t-2期の終値 + t-1期の終値 + t期の終値)÷ 5 - 同様に、一つ前のローソク足(t-1期)の確定時点の5期間単純移動平均は;
SMA2 = (t-5期の終値 + t-4期の終値 + t-3期の終値 + t-2期の終値 + t-1期の終値)÷5 - この2つの時点の単純移動平均の差「SMA1ーSMA2 」は;
[(t-4期の終値 + t-3期の終値 + t-2期の終値 + t-1期の終値 + t期の終値)÷5]-
[(t-5期の終値 + t-4期の終値 + t-3期の終値 + t-2期の終値 + t-1期の終値)÷5]
- たとえば、現在のローソク足(t期)の確定時点の5期間単純移動平均は;
となり、結局「(t期の終値 - t-5期の終値)÷5」となります。ここで分子の「t期の終値 - t-5期の終値」は、まさに5期間のモメンタムと同じです。
下のチャートの中で、背景が薄い赤の部分は、「モメンタムがプラスの値で、単純移動平均が上昇中」を意味しています。
単純移動平均線があとどれくらいで上昇から下降、あるいは下降から上昇に変わるかを、モメンタムは予測することができます。モメンタムは単純ですが、奥が深いですね。