はじめに
相関関係とは、二つの値の関わり合いのことで、一方が変化すれば他方も変化する関係をいいます。相関関係には「正の相関」と「負の相関」があります。正の相関関係とは、一方が増加すると他方も増加するという関係で、負の相関関係は一方が増加すると他方が減少するという関係です。
相関関係の程度を示す指標として、「相関係数(correlation coefficient)」というものがあります。相関係数とは、2 つの値の間の相関の度合い(類似性の度合い)を示す統計学的指標で、−1 から 1 の間の値をとり、1 に近ければ近いほど2 つの値には正の相関が強く、−1 に近ければ近いほど負の相関が強いことを意味します。
FXトレードにおいては、いろいろなトレード対象の相関関係がでてきます。TradingViewは相関係数を表示する機能がありますので、この機能を使ってトレード対象の相関関係を分析することで、トレードに役立てることができます。
Excelの相関係数の関数
TradingViewの前に、エクセルで相関係数を算出する「CORREL関数」を紹介します。
CORREL関数の引数は、「=CORREL(配列1,配列2)」です。
下記のサンプルは、S&P500と豪ドル米ドルの、直近20日間の終値のテーブルです。
(B23セルで、「=CORREL(B2:B21,C2:C21)」と入力しています。)
結果、S&P500と豪ドル米ドルの直近20日間の相関係数は、「0.8485361」と算出されています。
TradingViewの相関係数インジケータ
続いて、TradingViewの相関係数を表示する機能を紹介します。インジケータの選択メニューを開いて、「Correlation」と入力して、下記の「Correlation Coefficient」インジケータを選択します。
たとえば米国株のS&P500指数のチャートを表示しておいて、上記の相関係数インジケータの設定から、相関関係をみる対象と期間(この例では、豪ドル米ドルの終値と対象期間20)を入力します。
その結果、下記のチャートのように、相関係数の推移がインジケータウインドウに表示されます。
米国株と豪ドルは高い相関関係(正の相関)があることが多く、特にコロナショック以降は高い相関が続いてきたことがわかりますね。
相関関係の分析はExcelでは面倒ですが、TradingViewでは簡単にできることを紹介しました。
TradingViewの相関係数インジケータの改良版の自作
なお上記のTradingView組み込みの相関係数インジケータでは、複数の対象の相関係数を比較できません。以下の別記事で、複数の対象の相関係数を比較できる自作インジケータを紹介しています。
下のチャートは、米国株と、ドル円・オージードル・ユーロドル・ポンドドルの2020年年初からの相関関係を、表示させた例です。
チャートウインドウの方は;
- 米国株(S&P500):オレンジ
- EURUSD:赤
- GBPUSD:緑
- AUDUSD:ネイビー
- 1/USDJPY(ドル円を反転させたもの):青
インジケータウインドウの方は;
- EURUSDとS&P500の相関係数:赤
- GBPUSDとS&P500の相関係数:緑
- AUDUSDとS&P500の相関係数:ネイビー
- 1/USDJPY(ドル円の反転)とS&P500の相関係数:青
で描画しています。
豪ドルが米国株と最も(正の)相関関係が強く、円が米国株と最も相関関係が弱いですね。COVID-19のパンデミックによる株暴落の時期は、「豪ドル・ポンド」(より脆弱な通貨)と、「ユーロ・円」(より強靭な通貨)で全く異なる相関の動きだったことがわかります。