はじめに
本稿では、原油を算出する国の通貨であるカナダドル(CAD)、ノルウェークローネ(NOK)、ロシアルーブル(RUB)の動きと、原油価格との相関関係を見てみたいと思います。
- カナダドル(CAD)は、北米産の原油であるWTIの価格との相関関係
- ノルウェークローネ(NOK)、ロシアルーブル(RUB)は、北海油田の原油であるBrentの価格との相関関係
をみることとします。
原油価格と産油国通貨(CAD・NOK・RUB)の相関関係
上の図は、まずチャートウインドウに
- WTI原油(オレンジ)
- Brent原油(緑)
- USDCAD(紫、上下逆転して表示)
- USDNOK(赤、上下逆転して表示)
- USDRUB(青、上下逆転して表示)
の直近1年間の相対比較を表示しています。
一方でインジケータの方は、
- USDCAD(上下逆転)とWTI原油の相関係数(紫)
- USDNOK(上下逆転)とBrent原油の相関係数(赤)
- USDRUB(上下逆転)とBrent原油の相関係数(青)
を描画しています。
まず原油価格はWTI、Brentともに、1年前の水準をまだはるかに下回っていますが、カナダドルとノルウェークローネは1年前の水準まで回復しています。
先進主要国通貨「G10通貨」であるカナダドルとノルウェークローネは、ロシアルーブルよりも、原油価格との相関関係が総じて高いことがわかります。ノルウェークローネはこの3通貨のなかで、コロナウイルスのパンデミックによって最も大きく下落しましたが、その後は最も大きく上昇しています。
ロシアルーブルは、カナダドル・ノルウェークローネよりも、原油価格以外の変動要因の影響が大きい通貨と言えそうです。また今年の6月以降は、原油価格が堅調であるにもかかわらず、ルーブルは下落傾向にあります。この理由は、経済成長見通しの下方修正でロシア中央銀行は金利引き下げを連続で実施しており、またロシアはコロナ感染者が世界で4番目に多く、経済活動への影響が深刻であることから今年後半も追加利下げの見込みであること、などによります。
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相関関係とは、一方が変化すれば他方も変化する関係で、正の相関と負の相関があります。相関関係の程度を示す指標として、相関係数(correlation coefficient)というものがあり、1 に近ければ近いほど2 つの値には正の相関が強く、−1 に近ければ近いほど負の相関が強いことを意味します。TradingViewは相関係数を表示する機能がありますので、この機能を使ってトレード対象の相関関係を分析することで、トレードに役立てることができます。
なお本稿で使用した相関係数のインジケータは、複数のアイテムを対象にした相関係数を描画するため、自作のインジケータを利用しています。後日、PineScriptの解説記事の続編でご紹介します。