EA開発講座(メタトレーダーMT4/MT5の自動売買入門ガイド):目次
(1)EA開発講座(無料)を始めるよ!
(2)EA開発効率を格段に上昇させる「豊嶋先生の神ライブラリ」
(3)「勝てるEA」のロジックとは?
(4)EAのロジック練習:ダウ理論でエントリーする方法
(5)EAのロジック練習:レンジブレイクのダマシを回避する方法
(6)ATRはどんなEAにも使える優れもの
(7)テクニカル指標の中で、EAで機能するものと機能しないもの
(8)EAバックテスト(MT5)の評価基準の見方
(9)ロンドン市場とニューヨーク市場の夏時間・冬時間の切り替わるズレによるEA調整のための時差対応表
(10)FX専用VPSの国内大手「お名前.com」と「ABLENET」をどこよりも詳しく比較するよ!
(11)おすすめの海外のFX専用VPS「TradingFXVPS」
(12)EA開発で最も注意すべきは「コンプライアンス」
はじめに
EAのロジックの考え方
上記2冊の書籍で、だいたい1週間もあれば「一応完成したEA」を作れるようになり;
- 買いまたは売りのポジションを持つための、エントリーのロジック(及びエントリー条件を絞るフィルタリングのロジック)
- 上記のポジションを決済するための、エグジットのロジック
を書けるようになります。
プログラミングは、配列とfor文をマスターすればなんとかなります。後は延々とロジックそのものを考える作業です。
ここからが大変です。つまり、「一応完成したEA」のレベルから、「勝てるEA」のロジックに昇華するまでがEA開発のコアの作業になります。
勝てる自動売買のロジックに正解はありません。開発者の数だけロジックはあります。以下では、考え方とかヒントを列挙してみたいと思います。
エントリーロジックの考え方の例
まず、エントリーロジックを作る際に考慮すべきポイントの例をあげてみます。
- 「勝率は低いが、勝つときは大きく勝つロジック(損小利大型)」にするか?逆に「勝率は高いが、たまに大きく負けるロジック(いわゆる「コツコツドカン型」)」にするか?
- トレードスタイルはどうするか(デイトレ、スイングトレード、スキャルピング)?エントリーやエグジットの対象時間足をどうするか?
- エントリーのロジックを、さらに(1)環境認識のためのロジック(条件をフィルタリングするロジック)と、(2)エントリーのタイミングをはかるロジックに分けるか?
- トレンド相場とレンジ相場の2つに大きく区分して環境認識するか?それとも別の環境認識のスタイルにするか?
- その環境認識の違いをどのようにロジックに落とし込むか?
- トレンド相場の「押し目買い・戻り売り」戦略を採用する場合、優位性のあるエントリーポイントをどのように設定するか?
- レンジ相場の上限や下限での「逆張り」戦略を採用する場合、優位性のあるエントリーポイントをどのように設定するか?
- レジスタンスやサポートの「ブレイクアウト」戦略を採用する場合、優位性のあるエントリーポイントをどのように設定するか?
- ボラティリティが高い相場か、低い相場かを、どのようにして認識すべきか?
- エントリーできる時間帯を絞るか?
- エントリーの数は1個のみか?複数か(ナンピンや増玉など)?
- 買い・売りの両方か?どちらか一方か?
- 重要な経済指標については、このEAを止める前提とするか?
- 流動性が落ちる年末年始などは、このEAを止める前提とするか?
エグジットロジックの考え方の例
次にエグジットのロジックについても、考え方やヒントを列挙してみたいと思います。
- エグジットのロジックを、エントリーのロジックとは別に設定するか?
- 固定的な利益確定幅を設定するか?ボラティリティなどの条件を使って、変動的な利益確定幅を設定するか?
- 相場が逆行したときのロスカット(損切り)のロジックはどうすべきか?固定的な損切り幅を設定するか?ボラティリティなどの条件を使って、変動的な損切り幅を設定するか?
- いったん含み益になったあと、逆行してエントリー価格まで戻ったときに「建値決済」をすべきか?
- 含み益がのびたらストップを変更していく「トレーリング・ストップ」を採用するか?
- ポジションが複数あるときに、それぞれのポジションをどのようにエグジットするか?
「勝てるEA」のロジックとは?
「勝てるEA」にするためには、優位性のあるポイントでエントリーすることが最も重要で、結局これは自動売買でも裁量でも、同じであると思います。
EA開発も、結局は「優位性」を探す旅です。
優位性にはいろいろな種類があります。自動売買固有の優位性を利用する一例としては、昔に結構流行った「朝スキャ」と呼ばれるジャンルがあります。NY時間終了後早朝の閑散時間帯の小さな相場のゆらぎを利用するもので、大口投資家がこの時間帯にはいないこと自体が優位性のポイントでした。
優位性には他にもいろいろ考えられるので、「裁量で勝てるトレーダーは、良いEAを開発できる可能性が高い」と思うのは、このためです。
なお優位性のないポイントでエントリーするEAでも、コツコツドカン型(たとえば5pipsで利確、500pipsで損切り)で複数ポジションを持つようなEAは、すぐ作れます。こうしたEAは、勝率が高いですが、証拠金が少ないとすぐ破綻します。市販の有料EAにはこのタイプがとても多いです。